ジャグリングの大会にもマジックの大会にも
講師を立てて技術や知識を教える時間が存在します。
マジックのイベントでは「レクチャー」
ジャグリングでは「ワークショップ」と呼ばれているこのコーナー。
習う側も教える側も道具を手に持ち、
体を動かしながら行われることが多いジャグリングのワークショップと違い、
マジックのレクチャーは半分以上が座学。
僕はマジックコンベンションに呼んで頂いた時、
出来るだけ多くのレクチャーを受けるように心がけていますが、
フランスで見た加藤陽 君のレクチャー:
「道具の色」についての講義は、
ジャグラー視点から見ても かなり参考になるものでした。
日本では
舞台に立つにあたって重要な「知識」を学ぶチャンスが多くありませんが、
驚くことに お隣-韓国には
「マジック学科」を持つ大学が存在します。
ここ数年急激にレベルを上げている韓国のマジック界。
2012年のマジック世界大会「FISM」でも、ほとんどの部門で韓国人マジシャンが入賞。
手先の技術を競うマニピュレーション部門では上位3位までを韓国の若手が占めました。
その年、
韓国では「マジシャン」という職業が
子供がなりたい職業ランキングでトップ3に入ったそうです。
子供達の夢を追いかける思いに加え
国をあげてのエンターテイメントの後押しも、
韓国マジック界躍進の理由の1つです。
以前 韓国最大のマジックの式典
「BIMFマジックフェスティバル」で出演させて頂いた際、
お世話になっている安田悠二さんが教授を務める
東釜山大学(英称:Dong-Pusan College)のマジック学科のキャンパスを
見学してきました。
BIMFに出演した他のゲストマジシャンの方々と一緒にバスで東釜山大学へ。
バスを降りて校舎に入ると、
安田さんと マジック学科の生徒さん達が 花道で迎えてくれました
何の変哲もない 校内風景でしたが、
ふと室名札を見上げると、
目にとまるのは「クロースアップ」の文字。
この部屋は、お客さんの目の前で演じる「クロースアップマジック」を中心に教える為の教室。
マジックのセオリー、歴史などの座学も
この教室で教えるそうです。
続いて、ステージマジックの教室
この部屋もまた 幕付きの立派なステージがあり、
幕開けから幕閉めまで、音楽と照明付きで
ステージでの動きが勉強できるようになっています。
映像を使った授業の為のプロジェクターとスクリーンもありました。
こちらは道具作りを教える「工作室」
様々な道具を加工する為の道具が置かれていました。
作業台の横には、イリュージョン道具の材料でしょうか、
数種類の木材が。
この大学では、
ステージマジック
クロースアップなどの技術を始め、
・マジックの歴史
・道具作り
・舞台照明
・キューシート(スタッフへの指示表)の書き方
更には
・発声練習
・子供相手に見せるときの演じ方
・海外でマジックを演じる為の英語
など、
プロマジシャンに必要な あらゆる事柄を
2年間で教え込みます。
参考動画:
FISM2012 ステージ部門グランプリ
ユ・ホジン(韓国)
残念ながら東釜山大学のマジック学科は、2016年に廃止となりました。
しかし韓国には、もう1校「マジック学科」を運営している大学があります。
それがこちら
Dong-A Bogun College(東亜大学)
http://www.dongac.ac.kr/main/main.htm
数々のマジック理論や新しいアイディアを取り入れた道具を生み出し、
自身のマジックアカデミーでも多数の生徒の指導を行っている次世代のマジック指導者
Lukas Lee (本名: Lee Ki Suk)が講師を務めています。
いつか日本でも
国がステージエンターテイメントを大きく後押しするような動きが起きる事を、
心より願っております。
Text by 天平